海外渡航時にはさまざまなリスクがあることを説明しましたが、それでは海外に渡航するときや海外に滞在するときには、どのように身の安全を守ればよいでしょうか。

 これだけをしておけば100%安全ということはありませんが、まずは渡航先に関する情報を収集したり、感染症や健康管理、危機管理や海外旅行保険などに関する基本的な知識を日頃から身に付けておくことが、いざという時に役に立つのではないでしょうか。

 一般論になりますが、海外渡航時の危機管理について、以下に紹介します。

①「カントリーリスク」に関する情報を事前に入手・確認する

 ・内戦・暴動・テロ・デモ等の危険性の確認。

   → 発生時はその国には入国しない。その国に滞在中は発生場所に近づかない。

 ・感染症の流行地や流行状況に注意。

 ・外務省や現地の日本大使館等から情報を入手。

  <参考ウェブサイト>

   外務省「海外安全ホームページ」

   厚生労働省「FORTH海外で健康に過ごすために」

   NHK「NHK World」

②外務省「渡航登録サービス」に登録する

 外務省では、「たびレジ」と「オンライン在留届」という2つの渡航登録サービスを提供しています。これらに登録すると渡航先の在外公館(大使館や総領事館)から、海外安全情報や緊急一斉連絡メールなどが届きます。

 また、渡航先で居所や住所を定めて3ヶ月以上滞在する場合は、旅券法によって「在留届」を近くの在外公館に提出することが義務づけられています。現在ではオンラインで在留届を提出できるので、交換留学などで3ヶ月以上滞在する場合は必ず提出して下さい。

 これらのサービスは、自分が海外に渡航または滞在することを外務省に届け出ることによって、邦人保護の観点から外務省が関連情報を提供し、万が一の場合には安否確認などを行うものです。

 そのほかに海外の日本の在外公館(大使館や総領事館)が実施している邦人保護の業務については、以下を参照して下さい。

  <参考ウェブサイト>

   外務省「たびレジ」

   外務省「オンライン在留届」

   外務省「海外安全ホームページ:大使館・総領事館のできること」(PDF)

③海外渡航中の危機管理・安全管理

 ⅰ)海外の治安事情は?

  ・治安の悪い区域(犯罪多発地帯や生活困窮者の集住地区など)に近づかない。

    → 事前にガイドブックや地元の人から「どこが危ないか」を確認しておく。

    → 繁華街や観光地などにはニセ警官がいることも。

  ・夜間の外出は要注意(昼間でも人通りのない裏通りなどは危険!)。

 ⅱ)日常的な犯罪(スリ・詐欺・窃盗など)から身を守るには?

  ・日本人だとわかる格好をしない。

  ・華美な服装・(特に女性は)肌を露出した格好を避ける。

  ・高価なもの(ジュエリー、時計など)を身につけない。

  ・人前で財布や現金を見せない。

  ・バックやカバンの持ち方に注意する。

    → 道路側の手で持たない。肩にかけない。

    → リュックやカバンを背負わない(常に体の前で持つ/抱える)。

  ・政府や宗教に関わる施設や建物あるいは文化財などを撮影する時には注意する。

    → 撮影が禁止されていないかまず確認する。

    → 撮影料を目当てに関係者を装って撮影を許可して金銭を要求してくる場合がある。

    → 観光地などで民族衣装等を着た人物が撮影を促してくる場合があるが、有料か無料かを事前に確認する。

  ・強盗に遭遇したら「抵抗しない」「取り返さない」「追いかけない」。

    → 自分の「命」があることが一番大切。

  ・カード決済時のスキミング(カード情報の盗み取り)に注意する。 

    →ICチップ付きのクレジットカードを使う。 

    →レストランや商店などでクレジットカードを使う場合は、スキミングされないように、自分の面前にある端末機で決済する。 

    →店員がカードを別の場所に持っていかないように注意する。 

    →詳細は、各カード会社のスキミングに関する注意喚起を参照すること。 

 ⅲ)海外の交通事情や交通ルールは?

  ・特に“途上国”では、劣悪な道路状態や交通規則の不徹底を前提に行動する。

    → たとえば、信号機は機能していないこともある。

    → 国によっては、歩行者よりもクルマ優先がルールだと思うこと。

  ・現地でレンタカーやレンタバイクを運転しないこと。

  ・「白タク」に乗らないこと。

    ※「白タク」とは営業が許可されていない違法なタクシー業者のこと。

  ・「ヒッチハイク」は厳禁。

 ⅳ)「心の“スキ”」を見せない!

  ・見知らぬ人が日本語で近づいて来たら警戒する。

    → 善意の持ち主と犯意の持ち主とは外見上の区別はない。

    → “売り言葉”や“宣伝文句”に興味や関心を示さない。

  ・自分の個人情報(日本の住所、メルアド、電話番号など)を他人に教えない。

  ・初対面の人(日本人も含む)と飲食を共にしない。

  ・酒・ドラッグ・異性・ギャンブル・マネーなどの“怪しい誘惑”には負けない。

 ⅴ)宿泊先(ホテル・寮・アパートなど)では?

  ・玄関はしっかり施錠できるか、低層階の窓には格子があるかどうかを確認する。

  ・不用心だと思う部屋であれば交換してもらう。

  ・非常口を確認する。

  ・滞在先・宿泊先(ホテルの部屋番号など)を他人に教えない。

  ・原則、他人を自分の部屋に入れない。自分も他人の部屋に入らない。